愛とは?息子が愛を囁くようになった
息子1歳半、大人の真似を始めたのと「あ」と「い」の発音が可能になったため「愛」という単語を仕込むといろいろ捗るのでは?と思いついたので母は「さあ、これが愛です」という気持ちになって、ぎゅむりと息子を抱きしめた。
「愛よ。これが母の愛。あ、い」と教えた。息子はすぐに真似して言えた。
「あーい?」
「そう、あ、い。愛よ、愛」
「あーい?あーい!あーいあ!い!」
どうやら「あーい」が気に入った様子で、愛をつぶやきながらドタドタと家中を歩き回っていた。
しかしハテ。こやつは愛とは何かを正しく理解したのだろうか。
愛とは。
最近の息子ははっきりと形ある物や、わかりやすい動作を指す名称を次々に覚えている。しかし愛とは。
抱きしめる、撫で回す、愛していると囁く、そういったわかりやすい動作だけが愛ではないはずだ。食事を与える。オムツを替えてやる。嫌がる時もなんとか着替えさせる。泣かれてもやってはいけないことをした時は叱る。これらはたぶん愛だ。
そもそも息子は生まれてからこれまでのところ、愛以外の感情を向けられたことがないのでは?
祖父母たちからは猫可愛がりされ、私の友人たちからは全力で遊んでもらい、すれ違う人々からは温かい声かけと笑顔を向けられている。お医者さんのイタイイタイなお注射だって愛だ。
多くの人の愛によって息子は今日まで無事健やかに育ち「あーい!あーい!あ!い!」と言いながらご満悦な表情でドタドタと家中を歩き回ることができる事こそが、すなわち愛なのではないか。
愛とは。
もうすこし発音のバリエーションが増えたら「おかあしゃん すき」と言ってもらうのです。