息子のバージョンアップが止まらない
0歳児はアップデートが頻繁だ。
毎月のように新しいバージョンがリリースされ、その度に課金をしてアイテムや装備を揃える必要があったし、なによりプレイに慣れてきたと思ったらまたすぐに次のバージョンへと更新されるので「こいつはこういう生き物である」像と、その対処法がぜんぜん追いつかない。
赤ちゃんにはミルクをやっておけばよろしい。これまではそういうイメージでやっていた。ミルクを手早く作れる方法を編み出し、赤ちゃん攻略いっちょあがり、と思っていたところにVer0.5.00のタイミングで離乳食のはじまり。
ふむふむドロドロのお粥をさらにすりつぶして与えるのだなと学んだら、いつの間にか肉も食べられるようになっているらしい。
今日は親がコタツでデリバリーのピザを食べながらテレビを見て談笑していたところに息子も加わって、当然のように自らマヨじゃがピザをつまんで食べていた。アレ?キミ、そんな人だっけ?
おそらくは寝ている間に自動アップデートされているのだ。当然のことながらマニュアルは配布されないので結構困る。
「テーブルに登る前のバージョンが良かった。ダウングレードはできないのか」と内心毒づいていたら「テーブルから降りる」という機能が実装されていた。「ストローマグに入った飲み物をぶんぶん振り回して水浴びをして遊ぶ」という新機能の後は「びしゃびしゃのテーブル布巾で拭く」が実装された。ちがうそうじゃない。
公園に行くと、息子よりちょっと大きめのよその子どもたちをついつい凝視してしまう。なるほど2〜3歳はこのくらいのサイズ感で、こんな動きをするのか。近いうちにやってくるアップデートに備え、未来像をイメージしておくと、課金アイテムの購入など役に立つ。
しかしバスケをして遊んでいた中学生男子たちの姿にはショックを受けた。この気持ちをうまく説明できない。「子猫だと思って飼育していたら、実は虎でした」みたいな感じかな。とにかくサイズ感がまるで違う。動きもダイナミック。戦ったらたぶん私は負ける。
あと10回くらいのメジャーアップデートがやってきたら、私の可愛い子猫ちゃんは虎になる。
「息子像」をあらかじめ「完成系は夫に似たおじさん」であると自分の中で設定し、心づもりをしていたはずなのに、中間地点の中学生あたりのイメージが貧困だったのも、これほどショックを受けている要因かもしれない。
現在息子のバージョンは0.11.16。息子1.00.00のメジャーアップデートが数日後に迫っている。こんなふうに息子の日々のすべて、小さな小さなマイナーアップデートを目の前でつぶさに見られることも、いつかなくなるのだろう。
ちなみに明日は夫が39.00.00にアップデートされるのだけど、製造元からのアナウンスは特になかった。それから4月には、まみたも33.00.00になる予定だが、古い製品はあまり見向きもされないのがこの世の常である。両製品とも、新機能の実装は特にありません。
人生とは。