小さく大きなクリスマスプレゼント
息子のために、小さなピアノを買ってきた。クリスマスのプレゼントだ。小さなピアノ、と言っても、百貨店の包み紙で包装された箱は大きく、それなりに重かった。
店員さんたちが3人がかりで包装してくれたその大きな箱は、分厚くて頑丈そうな手提げ袋を二重にした上に、プラスチック製の手持ちのハンドルがつけられ、さらに持ったときに痛くないよう緩衝材がぐるぐる巻かれていた。
クリスマス前の日曜日、河原町は大変混雑していた。今にも冷たい雨が降り出しそうだったが、大きな箱を抱えて百貨店を出ると、街はキラキラしていて、体の内側はポカポカしていた。私は息子を乗せたベビーカーを押し、夫は大きな手提げ袋を担いでいた。
重そうなので途中で交代しようか、ときくと「この重さが良いのだ」と夫は誇らしそうに言った。我々はすっかりサンタクロースの気持ちだった。
生後9ヶ月の人に、まだクリスマスもサンタクロースも理解はできないだろう。ピアノもきっと早すぎる。その証拠に、百貨店のおもちゃ売場に一緒に連れて行ったが、息子が何かをねだることは当然無かったのだ。
ピアノにしようと言ったのは夫だった。それは最高に素敵なアイディアだと思った。
なぜなら私はピアノが弾ける。それに最近、息子は私が歌をうたったり、手を叩くと喜ぶようになった。つまり私がピアノを弾けば、息子はとても喜ぶ。そうに決まっている。
息子は「たーーー!」と言いながら、楽しそうにその小さな手で鍵盤を叩く。いろんな音が出ることがわかったら、息子の目はキラキラと輝くだろう。
息子はひとしきり鍵盤を叩いて、でたらめな音を出す。しかしすぐに飽きるだろう。そこで私は器用に指を動かし、素敵なメロディを奏でる。
息子はとても驚き、キラキラとした瞳をよりいっそう輝かせ、私を尊敬するのだ。そして息子はこう思うだろう。優しくて美人の母は、実はお姫様の姿をした魔法使いに違いない、と。
[3行あらすじ]
早く
クリスマスプレゼントを
開封したい