まみたとスプラトゥーン2【スプラトゥーンはじめました】
憧れのスプラトゥーンはすごかった。
インクタンクを背負い、私はイカの世界を駆け巡った。
アジフライスタジアムで、ザトウマーケットで、ホッケふ頭で、海女美術大学で。ボコボコにされてはリスに戻り、なるほどこれは死んでもこれはすぐ生き返れるゲームだということを学んだ。
モンガラキャンプ場で落水してイカなのに泳げないという不条理を感じ、タチウオパーキングの初動で味方が次々と飛び降りるのに目を剥いた。
金シャケを追いかけ、タワーを倒して武功を上げたと喜び、カタパッドに投げたボムは入らず、モグラに追い詰められ、ついにグリルが出ると手汗をかいて早く終われと願った。
そうして生活がインクまみれになってからしばらく経った頃
…どうやらガチマッチというやべぇエクストリームなルールがあるらしい。
イカれたやつらが集まっている。ガチなやつらしい。
御免こうむった。わたしにはまだ早い。ひとまず来世の課題とすることにした。
ガチマッチは棚上げして固く紐で封印して神棚に祀っておいたのだが、そろそろオンラインでお友達と遊ぶと楽しそうだなということに思い至った。しかし当初の動機、はてなのお友達のほんどはすでにスプラトゥーンに飽きていた。
遅れて買った人を探そう。
探して見つかった。それは昔からの男友達の奥さんだった。1度だけ会ったことがある人で、早速フレンドを申請した。あまり期待していなかった。きっとやんわり一度くらいは社交辞令的に遊んで、それっきりだろうなと思ったていた。しかしその予想は裏切られ、彼女の類まれなるコミュ力と他人への懐への突進力で、あれよあれよという間にスプラトゥーンの輪が広がっっていった。
男友達の奥さん。男友達の親友の男性。男友達の奥さんの男友達の奥さん。男友達の奥さんの元同僚。男友達の奥さんの元同僚の弟。私の元同僚。友達の友達はみんな友達スタイルでLINEのIDを交換し、グループを作り、そうして毎晩、毎晩、毎晩、毎晩毎晩、時間を合わせて通話をしながら遊ぶことになった。
奇しくもスプラトゥーン甲子園の関西会場は京都だった。抽選に当たるかはわからないけど、みんな出場を目標として、夜ごと集まったイカたちは、たくさんのインクを撒き散らした。ただただ楽しかった。